2016年9月20日火曜日

コロンビア出張編(8)


コロンビア。というわけで行ってきました。

こうやって長期でコスタリカに赴任するときには、ボリビアとかコロンビアとかにちょこちょこ出張と称して出かけています。あまりにもこれがふつうになって来てなんでこうしているのか元々の理由を忘れるくらいなんですが、こうしてコスタリカに来るときには、だいたい滞在が3ヶ月を超えてしまいビザなしで滞在できる期間を超えてしまうんですね。

なので、一旦国外に出て更新するというのが元々の理由です。どうせならこの近辺で活動している元研修生たちをフォローしに行った方がいいだろうというので、ここ数年行ったのが、グァテマラ、ニカラグア、ボリビアでした。

コロンビアは少し違って、昨年始まったJICAの技術プロジェクトの専門家でメインストリーム協会とも関わりの深いリハビリテーション協会での奥平さんが赴任したので会いに行くというのが最初でした。

ちょうど同じ時期に首都ボゴタで自立生活運動に興味のあるアイデーという脳性麻痺の女性がモルフォにコンタクトを取ってきて、とても熱心だったのどんな人か確かめて、あわよくば奥平さんのプロジェクトにもつなげたいというのがだいたい去年の今頃ぼくが考えていたことでした。

コロンビアに障害者対象のJICAの技術プロジェクトが入り、そこに自立生活運動出身の奥平さんが専門家で赴任、方やコスタリカにはモルフォがある。メインストリーム協会を含めてこうした実績のある団体が絡みながらコロンビアでも当事者運動が発展していく、というぼくの中ではイメージは完璧にできあがっていたのですが、得てして条件が整いすぎているときにはそんなに思ったようにいかないのが世の常で、結局コロンビアではこれ以上当事者運動は期待できないまま、奥平さんも任期途中で帰国ということになりました。




そしてまた逆に思いもしなかったところから物事が展開していくのが、生きているものの面白さで、それがアイデーということになります。アイデーについての詳しくは去年の一連のこのブログ、それと年末に再訪して行った介助者研修についてのブログを参照してほしいのですが、アイデーと彼女をずっと手伝ってくれているナンシーという女性は、ぼくがこれまで関わってきたコロンビア人の中では最も信頼できる二人です。ぼくがモルフォをつうじて彼女らと知り合ったのが去年の6月頃だったかと思いますが、以来休むことなくこの活動をつづけています。そして先日6月にコロンビアで一番の大学であるナショナル大学と協力して、コロンビアで最初の自立生活セミナーを実現しました。

ぼくも応援しがいがあるので、できることはやってこうして3度目の訪問となりました。
今回の目的は今後のボゴタでの活動をどうやっていくかと11月にコスタリカである国際自立生活セミナーについて話すことでした。

お話ししたように、JICAのプロジェクトと絡めて何かできるかと考えていたのですが、どうもその可能性がないとなったなら、独自で進めていかなければなりません。日本にいる間廉田さんにこうした状況を説明しながら、メインストリーム協会独自で支援する方法はないかと探っているところです。どこの自立生活センターもそうですが、活動資金がなくやりたいこともやれない状況なので、政府の障害者担当部署にいる、2月にメインストリーム協会にも来たファン・パブロも絡めて何かできるか考えています。

11月のコスタリカの国際自立生活セミナーにも招待していて、これはセミナーそのものだけではなく、その後モルフォでの会議にも同行し、その間に廉田さんから直接色々自立生活運動について話してもらうことにしています。

Primer Seminario de Vida Independiente en Colombia from TAKESHI INOUE on Vimeo.


ぼくにとってコロンビアでの仕事は、ちょっと特別か感じがしています。メインストリーム協会ともJICAとも無関係にやっているので、どこまで責任取れるかとひやひやしながら緊張感持ってやっていることがまずあります。

アイデーたちが期待に応えて色々やってくれているので、ぼくもやめられないのですが、去年12月に介助者研修をやった時には、上の写真のアイデーの家に、打ち合わせ、本番二日、反省会と都合4日連続で通いました。アイデーの家はボゴタの北の端にあって、トランスミレニオという市内を走る連結バスで北の終点まで行って、そこからアリメンタードールと呼ばれている乗り換えバスで10分くらいかかります。ボゴタの中心部から1時間くらいでしょうか。最初は風景にまったく現実感がなく、「オレっていったいここで何してんだろ?」みたいな感じでした。それが二日間の介助者研修を終えて、もう一日アイデーの家に向かっているときには、もうすでに通勤しているような感覚になっていました。

そして、すべてを終えて車窓の夕暮れていく風景を眺めていると、まるでずっとこうして旅をつづけて来たような気分になっていました。そもそもぼくがこのラテンアメリカの障害者の仕事をしているのは、かつて南米をバックパックを担いで旅行してきたことが発端でした。ああ、あの道がまだここでつながっているんだな、ということがコロンビアで仕事をしていると感じられるのですね。わかるかな?


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